西南日本の基盤はおおむね東西方向に配列しています。茨城・福島で棚倉構造線のすぐ西側に接しているのは、西から 丹波帯−美濃帯−足尾帯と呼ばれているジュラ紀の付加体です。この地域では足尾・八溝帯ともいいます。
一方、東北日本の基盤は、おおむね南北方向に配列しています。棚倉構造線以東の東北地方では、西から東へ向かい、阿武隈帯・南部北上帯・北部北上帯の順に配列しています。
阿武隈帯には、中生代白亜紀にマグマが貫入し、固結して阿武隈花崗岩になっています。貫入された側の素性はよく分かっていません。高温型変成帯とされる御斎所変成帯と、低温高圧変成帯とされる竹貫(たかぬき)変成帯・日立変成帯などがあります。
南部北上帯は古生代〜中生代の浅海の堆積岩や花崗岩が分布しています。
北部北上帯は中生代ジュラ紀の付加体ですが、白亜紀の浅海の堆積層である「宮古層群」に覆われたところもあります。また、白亜紀に多量のマグマが貫入して固結し花崗岩になっています。
東北日本の基盤のうち、阿武隈帯と南部北上帯の境界となっている断層を「畑川構造線」といいます。畑川構造線の主要な活動年代は、白亜紀の約9000万年前で、1000万年間に60kmの左横ずれが生じたと考えられています。
この地図は、地質図に鉄道線路と駅を書き込んだものです。2004年9月はじめに、行ってきました。
JR水郡線は、ほぼ棚倉構造線沿いに走っています。とくに棚倉〜東館の間は、棚倉構造線に沿って形成された谷を通っています。磐城浅川より北では東北日本の阿武隈帯を通り、矢祭山より南では西南日本の足尾・八溝帯を通っています。
足尾・八溝帯の基盤は、ジュラ紀の付加体ですが、白亜紀にマグマが貫入し、筑波・八溝の花崗岩体になりました。矢祭山の駅から岩壁が見えましたが、付加体のチャートか、白亜紀の花崗岩か、車窓からでは分かりませんでした。
袋田の滝の岩種も知りたいのですが、インターネットで検索しても「なぜ袋田の滝ができたのか」という地質的背景について書かれたものはまったくありませんね。滝ができるということは、何かそこに固い岩石があるはずなのですが。
棚倉から茨城県常陸太田・山方にかけては、これらの基盤の上に、新第三紀の堆積層や火山噴出物が載っています。久慈男体山も、ネットで調べたかぎりでは、この新第三紀の海底火山堆積物のようです。
袋田の滝は新第三紀の火山岩
2004/09/27追記
堀内さんから情報をいただきました。
「私の手元の地学ガイド茨城県コロナ社に、「海底火山の溶岩噴出物である集塊岩が続く。一寸見ると角礫岩のように見えるが黒い安山岩である。まず最初の溶岩が火口付近に堆積したあと、次の噴火でこの溶岩がこなごなに砕けドロドロした溶岩の中に角礫状に転がり込んだまま四方にちり、固まった。滝は四段であるが、柵になっている部分が硬く、崖になっている部分が柔らかく、もう一つ滝になっているところは割れ目(節理)あって、他より侵食されやすいから・・・。」とありました。」
ありがとうございました。
足尾・八溝帯のチャートではなく、久慈男体山と同じく、新第三紀の海底火山噴出物のようですね。